労働契約・就業規則は変更できるのか
賃金や労働時間などの労働契約は、労働者と使用者が合意すれば変更できます。しかし、合意による変更の場合でも、就業規則に定める労働条件よりも下回ることはできません。
就業規則の変更によって労働条件を労働者の不利益に変更する場合には、原則として労働者の同意が必要です。しかし、その変更に合理性があり、労働者に周知されている場合は、不利益変更が認められるとされています。
この合理性の有無は、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況等が判断材料となります。
労働基準監督署に就業規則の変更届を提出する際には、労働者の過半数の代表の意見書を添付する必要があります。また、労働者に変更後の就業規則を周知させることは必ず行わなければなりません。
就業規則の不利益変更は、全ての労働者の同意が必要なわけではありませんが、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については変更できません。
就業規則が現実離れしていることは様々なトラブルの原因になります。就業規則を見直し、適正な手続きを踏んだ上で合理的な内容に変えることを検討すべきでしょう。