法令違反には「是正勧告」が行われる
労働基準監督官による臨検の結果、労働法規の違反の事実を発見した場合は、問題点を改善するよう促す「是正勧告」が行われます。
労働基準監督署が交付する是正勧告書には、違反が認められた法律と、「割増賃金を支払っていない」、「健康診断を実施していない」等といった違反の内容、そして是正期日が記されています。
また、法令違反には至らないものの、改善の必要があると判断された場合に、「指導票」が出される場合もあります。是正勧告書等を受け取った場合、是正・改善した状況を報告するために「是正報告書」を提出することを求められます。
さて、この是正勧告にはどのような法律的な意味があるのでしょうか。
例えば、税務署が所得の申告漏れを発見し、改めて課税を行った場合、私たちにはその税額を払わなければならないという義務が生じます。これは法的な拘束力のある行政処分です。ちなみに、労働基準監督署が行う、危険性の高い機械・設備等の使用禁止も行政処分です。
しかし、労働基準監督署による是正勧告は、指導された者の自発的な改善を促す「行政指導」に分類されます。つまり、法的な拘束力はなく、直接的に何らかの義務を発生させるものではありません。