労働組合の武器 団体行動権とは
交渉の際には労働組合は有利に進めるために、様々な揺さぶりをかけてきます。武器となるのが団体行動です。ビラの配布や掲示、会社への街宣活動などのほか、経営者の自宅や元請会社、融資する金融機関への街宣行動をちらつかせることもあります。
経営者にとっては、労働組合との争いについて顧客や他の労働者に知られることは好ましいことではないでしょう。交渉に長けた労働組合はその心理をよく知っています。
団体行動は憲法で保障されています。ストライキなど正当な権利の行使の結果起こった使用者の不利益については、正当性の範囲内で民事上の免責があり、刑事上も罰されないと考えられています。
ただし労働争議であれば無制限に認められるわけではありません。例えば、ビラの掲示や配布は、会社に不利益があったとしてもある程度認められます。しかし、ビラや街宣の内容が、全く事実無根であり、会社の利益を不当に侵害するであれば不法行為となる余地があります。
何が「正当な争議行為」であるかは微妙な判断になります。おそらく、経営者の常識で考える「やって良いこと、悪いこと」とは一致しないことが多いでしょう。法律の専門家の意見を取り入れながら、団体行動への対処について予め考えておく必要がありそうです。