横領をする社員
横領も頻繁に見られる問題社員とのトラブルです。経理担当者の着服、出張費や通勤手当の不正取得など、手口は様々です。横領は、重い懲戒の事由として認められる不正であるのは言うまでもありません。
しかし、不正の事実を証明する責任は使用者の側にあります。本人に横領の事実を聞き取り、認めた部分について書面にまとめることが必要でしょう。本人が否認し、客観的な証拠もないまま解雇等を行えば、争いとなり、処分が無効となることもあります。
また、事案の程度に応じた懲戒処分等を行うことも必要です。例えば、安価な文房具や、贈答品のお菓子を持ち帰ったという事例のみで、懲戒解雇を行うような事例は、正当性を疑われる可能性があります。処分を適用するときは、いくつかの不正の疑いがあったとしても、立証できるもののみを対象とするほうが無難です。
なお、従業員が横領などにより不正に取得した金額に関しては、不当利得として返還を請求することができます。また、場合によっては刑事告訴で対応すべき事案もあると思われます。
言うまでもなく、横領について最も重要なことは発生を未然に防ぐことです。現金の管理や各種経費の請求書類の適正化により、横領はかなりの部分が防げるものです。横領が起こりやすい業務のリスクを洗い出し、チェック体制を強化したいところです。