繁忙期に有給休暇の請求をされたら?
有給休暇の取得時期は労働者が自由に決められるのが原則です。しかし、業務の繁忙期に有給休暇を請求されれば、事業に大きく支障をきたしてしまうでしょう。
労働基準法では、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に変更させることができるという、使用者の「時季変更権」が定められています。
しかし、日常的に業務が忙しいという理由で、年休取得の時季を拒否できるわけではありません。その時季の労働が業務運営にとって不可欠であり、かつ代わりの労働者を確保することが困難であること等が要件となります。長期の年休の請求については、比較的時季変更権が認められやすい傾向があります。
付与される年休の5日を超える部分については、労使協定と就業規則への記載により、事業場全体の休業による一斉付与や、部署別の交替付与、あるいは個人別に年次計画に基づき年休を付与する制度を設けることもできます。
年休の問題は、法律面も然ることながら社内の慣行が大きく影響します。労使間の信頼関係が失われるとトラブルが発生する危険性が高まります。業務に影響のない時期に年休消化の勧奨などをこまめに行うことで、自然発生的な慣行を作り上げることを心がけるとよいでしょう。