社員が外部でトラブルを起こした
従業員が業務中に交通事故など、外部に損害を与えた場合に、会社に対して損害賠償が請求されることがあります。従業員等が第三者に与えた損害を使用者が賠償する責任を「使用者責任」といい、いくつかの要件が有ります。
まずは当然、その従業員と使用関係があることです。これは必ずしも雇用契約とは限りません。実質的な指揮・監督関係があれば、請負や委任といった関係でも責任が問われる場合があります。
そして、その損害を与えた行為が事業の執行についてなされたことです。これは業務から直接に生じたものだけではなく、あたかも職務の範囲内の行為に属するものと認められる場合も含まれます。また従業員などに故意・過失があるなど、不法行為と認められることも必要です。
使用者が、従業員の選任や監督について相当の注意をするなど過失がなく、相当の注意をしても損害が生ずべきといえる場合は、使用者責任は免責されるとされます。とはいえ、現在では使用者の免責は認められにくく、事実上、無過失責任に近くなっていると言われます。
従業員には支払い能力がなく、請求された損害賠償を会社が全額支払うことも多いでしょう。この場合、直接トラブルを起こした従業員等に求償をすることができます。ただし、使用者責任があるため、全ての責任を被用者に負わせるのは難しいでしょう。