問題社員とのトラブル
問題社員とのトラブルと弁護士
会社経営において経営者が頭を悩ませる問題に、社員との法的トラブルがあります。社員とのトラブルには様々な要因があります。社内・社外での問題行動や不正などを行う、いわゆる「問題社員」の行動、また会社側が法的な義務を理解していないことが原因となることも多いようです。問題社員については、問題行動そのものによ...
勤怠が悪い・無断欠勤する社員
時間のルーズさは、注意してもなかなか改まらないものです。遅刻や無断欠勤を繰り返す社員がいると、会社の業務に重大な支障をきたします。このような社員への対応は、まず直属の上司から注意すること、そして、遅刻を繰り返すことや無断欠勤をすることは懲戒事由に当たると考えられますので、就業規則にある懲戒の対象とす...
横領をする社員
横領も頻繁に見られる問題社員とのトラブルです。経理担当者の着服、出張費や通勤手当の不正取得など、手口は様々です。横領は、重い懲戒の事由として認められる不正であるのは言うまでもありません。しかし、不正の事実を証明する責任は使用者の側にあります。本人に横領の事実を聞き取り、認めた部分について書面にまとめ...
ダラダラ残業をする社員
残業代請求とも関係する従業員の問題行動が、就業時間後に、ほとんど仕事をせずに私語やネットサーフィンなどで時間を潰し、タイムカード等に記録される勤務終了時間を引き伸ばす、いわゆる「ダラダラ残業」です。労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令の下に置かれている状態にある時間です。この定義からは、仕事を全く...
私的なメール使用を禁止できるか?
会社の従業員は就業時間中、誠実に労働を行う義務があります。しかしデスクワークの場合、社員が会社のパソコンを私的に使用していることは、外見からはわかりにくいものです。私的なメールのやり取りをしていたり、業務と関係のないWEBサイトを閲覧している例は多かれ少なかれどの会社にもあるでしょう。中には会社のパ...
社員が会社の重要情報を漏えい
インターネットの普及、個人情報保護法の施行などもあり、ますます注目を浴びているのが社員による会社の重要情報の漏えい問題です。競合他社へ機密情報が知れてしまったことで営業上の損失を被ったり、顧客の個人情報が漏えいし、その個人からの損害賠償請求、場合によっては刑事告訴など、深刻な問題に発展する可能性があ...
セクハラ事件が発生した
最近、企業に社内でのセクシャルハラスメントへの対策を求める機運が高まっています。平成19年の男女雇用機会均等法改正で、使用人がセクハラの防止について「雇用管理上必要な配慮をすること」が義務付けられたことが大きく関係しています。セクハラの問題が発生した際、会社にとって難しいことは、セクハラを受けたとさ...
副業を禁止することはできるか?
就業規則等で、従業員の兼業を禁じる規定を置いている会社は多いですが、副業等を禁止し、副業が判明した場合に、懲戒の対象とすることはできるのでしょうか。原則として、使用者の管理監督権のない就業時間外の時間の使い方は労働者の自由です。兼業禁止の規定があったとしても、それが会社業務に支障をきたさず、会社に損...
懲戒処分の種類
問題社員への対応で重要な論点となるのが懲戒です。懲戒の種類については法定されているわけではありませんが、一般的なものに譴責・戒告、減給、停職、降格、懲戒解雇等があります。譴責・戒告は、反省を求めて戒める処分です。上司からの口頭での注意とは異なり、一定の手続きを踏んで会社として処分するもので、始末書の...
労災の基本
会社と労働者の争いになりやすい事の一つに、労働災害(労災)があります。社員の怪我や病気を労災として認定し、労災保険の申請を行うかいなかについて争いになるのです。労働災害により病院にかかった場合、通常の健康保険は使えず、必ず労災保険を使わなければなりません。労災により会社を休んだ場合、休業4日目以降平...
通勤災害と労災
労災は、従業員が業務上の原因で怪我をしたり病気になったりした場合に適用されますが、しばしばこの「業務上」の範囲が問題となります。例えば通勤中の災害。通勤災害は業務と密接な関係があるため、業務災害とほぼ同じ補償が受けられます。つまり原則として通勤災害についても労災申請をしなくてはならないことになります...
うつ病など精神障害と業務災害の関係
労働災害で、近年とみに聞かれるようになったのが、うつ等メンタルヘルスの労災適用について。うつ等が労災に認定されるか否かのほか、会社への損害賠償などの問題とも関連します。精神障害に関する労災請求の件数も増加傾向にあります。怪我などと比べ原因が業務にあるかが特定しにくいうつ等の精神障害の労災認定要件につ...
解雇の種類 普通解雇
労働者とのトラブルで最も深刻になるものの一つが解雇の問題です。使用者は労働者を解雇する権利がありますが、労働契約法では、解雇は客観的に合理的な理由があり、社会通念上解雇が相当でなければできないとされています。解雇の分類によく使われているのが普通解雇、整理解雇、懲戒解雇です。普通解雇とは、何らかの理由...
解雇の種類 整理解雇
経営不振など、会社の事由によって解雇するのが整理解雇です。いわゆる「リストラ」と言われるものがこれにあたります。労働者に直接的な原因がない解雇ですので、要件は厳しくなります。整理解雇の要件としては、まず、経営状態などの観点から人員削減の必要性があるかどうか。財務諸表や人件費にかかる帳簿等から、解雇の...
解雇予告・解雇手当の基礎
普通解雇や整理解雇を行う際は、労働者に少なくとも30日前にその予告をしなければならないとされています。予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金を支払わなくてはなりません。解雇通知から解雇までが10日間しかなかった場合は、20日分の平均賃金を支払うことになります。この規定を守らずに解雇して、後にその...
解雇の種類 懲戒解雇
懲戒解雇は懲戒処分としての解雇です。企業秩序を著しく乱した労働者に対して、最も重い制裁として行われます。解雇予告手当や退職金を支給しない取り扱いがされることが多いでしょう。解雇予告手当を支払わない取り扱いをする場合、会社は事前に管轄労働基準監督署に解雇予告の除外認定を受けておかなければなりません。労...
退職勧奨はどこまで?
解雇には法的な制限があるため、現実的によく行われているのが退職勧奨です。これは、使用者から労働者に、労働契約を終了させる合意による退職を促すことです。退職勧奨により退職を促すこと自体には、普通解雇や整理解雇のような法的制限はありません。退職勧奨に応じなければ解雇とせざるをえない、というアプローチをす...
会社に合わない休職制度はトラブルの元
労働契約を維持しながら労働義務を一時的に停止するのが休職制度。法的に設ける義務はありませんが、多くの会社で就業規則の中に入っているのではないでしょうか。本人の都合による休職には賃金は支給されないという運用が多いと思いますが、雇用している間は、保険料などの負担は続きます。また、職場に復帰する時期が未定...
有給休暇の基礎
法律で使用者の義務として定められ、各社の就業規則にも必ず記載される有給休暇(年休)。しかし特に中小企業では社員のほとんどが未消化であるなど、制度と実態とかけ離れてしまいがちなものの一つとなっています。ここで、まず有給休暇の基本を説明します。使用者は、6ヶ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者...
繁忙期に有給休暇の請求をされたら?
有給休暇の取得時期は労働者が自由に決められるのが原則です。しかし、業務の繁忙期に有給休暇を請求されれば、事業に大きく支障をきたしてしまうでしょう。労働基準法では、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に変更させることができるという、使用者の「時季変更権」が定め...
社員が外部でトラブルを起こした
従業員が業務中に交通事故など、外部に損害を与えた場合に、会社に対して損害賠償が請求されることがあります。従業員等が第三者に与えた損害を使用者が賠償する責任を「使用者責任」といい、いくつかの要件が有ります。まずは当然、その従業員と使用関係があることです。これは必ずしも雇用契約とは限りません。実質的な指...
会社の備品を社員が壊してしまった
従業員が業務上のミスで会社の備品を破損してしまうこともよくあります。その従業員に代替品の購入費や、修理費等を請求することはできるのでしょうか。民法上、故意や過失により損害を発生させた人は、損害賠償義務を負います。原則として会社が社員に対して損害賠償を請求することもできると言えます。しかし、使用者は労...
従業員への損害賠償請求権と賃金の相殺
使用者が労働者に対して損害賠償請求権を持っている場合にしばしば問題になるのが、賃金から損害賠償の額を差し引き、相殺することが認められるかどうかです。労働基準法では「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定めています。この条文から伺えるように、賃金には「全額払いの原則」があ...