労働基準法の対象は「労働者」
労働基準法で保護されているのは「労働者」です。この労働者の定義は労働基準法が根拠となる残業代請求において非常に重要です。
最近、「アウトソーシング」という言葉が盛んに使われるようになりました。会社の業務の一部を外部への委託、請負で行うことをいいます。雇用契約ではなく業務委託契約、請負契約で支払った外注費は賃金ではありませんので、労働基準法の規制の対象とはなりません。
しかし現実には、形式的に業務委託契約や請負契約として契約を結んでいても、実質的に雇用の形態で働かせている例もあります。「偽装請負」などという言葉もマスコミなどで取り上げられるようになりました。このような事例では「労働者性」が認定され労働基準法上の労働者と扱われることになります。
労働者性の判断材料となるのは、就業時間や場所の拘束の有無、業務に関する指揮命令、契約の諾否の自由の有無、経費の負担の有無(業務の経費を発注者が支払っている場合は労働者性が強い)などが挙げられます。
残業代請求についても「労働者ではない」と主張し、支払いを拒否することは考えられますが、その際は業務委託等の契約書のほか、見積書や発注書等、実質的にも雇用契約と異なる形態で業務が行われていることを証明する資料が必要となるでしょう。
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