まずは法定労働時間を知っておこう
労働基準法では、労働時間に上限が定められています。原則として、労働者を1週間40時間、1日8時間を超えて働かせることはできません。この労働時間のことを「法定労働時間」といいます。
一方、個々の事業所で就業規則などに、「○時~○時まで」といったように定めている労働時間を「所定労働時間」といいます。所定労働時間は法定労働時間の範囲内で定めなくてはならないということです。
労働時間は労働者が上司などの指揮監督の下にある時間。通勤時間や休憩時間は原則として労働時間に入りません。例えば、仕事が9時開始、6時終了、途中昼休みが1時間入る場合は、労働時間は8時間。業務を行っていなくても、指揮の下で待機をしたり、後片付けをしたりする時間は労働時間です。
勤務が午前0時をまたぐ場合は、勤務をスタートした日を基準に、1日の勤務と計算されます。例えば夜勤の仕事で午後8時から午前5時まで、1時間の休憩がある場合、1日8時間の労働となります。
なお、法定労働時間には職種と事業所の規模により、特例が設けられています。商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業のうち、労働者数が10人未満の事業場については、法定労働時間は1週44時間、1日8時間となっています。
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