フレックスタイム制の導入は慎重に
フレックスタイム制は、労働者の裁量で労働時間を決める制度。一定の時間帯で、始業及び終業の時刻を自由に決めることができます。就業規則に定め、労使協定を行うことで採用できます。
フレックスタイム制では、一ヶ月以内の清算期間の総労働時間を決めます。1日8時間、週40時間の法定労働時間の縛りはありません。また、フレックスタイム制のもとでも必ず出社しなければならない時間「コアタイム」を設けることもできます。
ただし残業代を払わなくて良いわけではありません。清算期間の総労働時間を超えた時間が割増の対象となります。また、深夜労働・休日労働については割増賃金を支払う必要があります。
注意しておきたいのは清算期間における実際の労働時間が総労働時間として定められた時間より多かった場合。総労働時間として定められた時間分のみ賃金を支払い、翌月以降の労働時間を減らすことはできません。
一方、清算期間における労働時間に不足があった場合に、総労働時間として定められた時間分の賃金を支払った上で不足時間分を翌月以降に残業をすることで補うことは可能です。
フレックスタイム制は、残業代を抑える効果がある制度であるといえますが、従業員の士気や規律への悪影響も考えられます。モラルハザードを起こすことのないように採用には慎重さが求められるでしょう。
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